いよいよ、本選の話です!予選の話はこちらから
こちらもあくまで僕個人の感想です。
本選の感想を書く前に、JMOの本選についての情報を簡単に書いておきます。
4時間で5問を解きます。予選と違って全部記述問題で部分点がつきます。1問8点で合計40点。2019年の本選通過のボーダーラインは確か16点でした。本選出場者は200~300人で、そのうちに20名程度が本選を通過して春合宿に出場できます。
1.本選の対策
予選が終わってから本選までには約1ヶ月あります。意外に長いなと思うかもしれません。
僕も長いなと思いました。予選を通過したことを先生に報告すると「本選は対策のしようがないくらい難しいぞ。俺たちも全然知らん公式が出てくるし」と言われたのですが、「1ヶ月も対策すればどうにでもなるんじゃないか?」と思いました。普段から根拠のない自信で生きているので
ところが勉強し始めてみるとその難しさに気づきます。数年分の過去問を見て、解けそうな問題から解き始めたのですが、各年度1問ほどしか解けません。0問の年もありました。本選通過のボーダーは2問から2問半。
ここで、2年前の記憶が蘇る。また4時間座るだけになったらどうしようかと。実際本選の東京会場はJMOもJJMOも早稲田大学で隣の教室なのです。2年前の隣の教室でまた解けないで唸っている姿が頭をよぎりました。
ここで、事態がまずいことになっていると気づきました。しかし本番まで3週間を切っていた…
今からすべてを対策するのはやはり時間がないので再び的を絞りました。というよりあまり良くないと思うのですが、山を張ることにしました。
予選が例年より簡単で整数問題と関数方程式が出たので、本選でもそれがでるのではないかと予想し、この2つを重点的に勉強しました。使ったのは予選の記事でも書いた『パーフェクトマスター』です。
これを使って勉強して、2問解ける年もちらほら出てきたあたりで、本番となりました。
2.本選当日
本選の問題はJMO本選問題(2020)から。来年以降受ける人で過去問としてこれを解く人もいるかと思うので具体的な解法についての記述は避けます。
本選は2月11日。先輩と待ち合わせて一緒に昼ごはんを食べて、早稲田大学へ向かいました。道に迷ったおかげで受けられないかと思った
JJMOの時はお菓子の持ち込みが許可されていたのですが、今回は不可でした。え~用意してきたのに…まぁしょうがないですね。予選と同じくスポーツドリンクとお茶で臨みました。
実際に問題を見てみて、ガッツポーズをしたくなりました。山をはったのが見事にあたって、整数問題と関数方程式が出題されていました。これはわんちゃん通過…?
1問目の整数問題を5分程度で解きました。ただ解答に30分近くかかりました。明らかに解答を書く練習が足りてないですね。。
続いて3問目の関数方程式を解きました。不等式のタイプはあまり練習していませんでした。しかし正の整数という条件がついていたので、整数問題の知識や経験が活きてきました。そのおかげで1時間で大まかな方針を立てて、答えを導くことが出来ました。
ただ答えが分かっただけでは点数にならないのが本選。しっかりと穴がない証明をつけなければなりません。細部の証明方法に手間取ってなんだかんだ更に1時間近くかかりました。
まだ1時間半の時間が残っているので、もう1問解こうと思いました。明らかに2番の平面図形が簡単そうだったのですが、もともと苦手な上にあまり練習していなかったので、少しだけ解答を書いて断念。あれは点数入ってたのだろうか?(※1)
次に4番のゲーム的な問題に取り掛かりました。なんとなく筋道を考えることは出来たのですが、一部証明できていないところがあった上に解答を書く時間があまり残っていなく結局満足な解答作れずに時間切れ…
う~ん、もしかしたら通過してるのかな?でも今年はボーダーも高そうだからとモヤモヤした日々を送っていたところに封筒が来て・・・
残念ながら本選落ち
厳正なる審査の結果云々ということが書いてありました。これだけ偉そうな記事を書いておいて通過してないのかよって感じですね。通過してたら勉強で忙しくて記事書いてる場合じゃないです
正直悔しさはありました。予選の勉強をしてた時は本選を通って春合宿行ってやる!!という意志はあまりありませんでしたが、もしかしたらという希望を持ったおかげで、失敗が分かったときには少し落ち込みました。
ちなみに、後輩は2番の平面図形が半分くらいと1番が完答
先輩は4番を一応証明して、1番が完答
みんなタイプが違って面白いものです。
(ということは3人で協力してれば本選通過した…?)
先程は悔しかったと書いたのですが、実際にはめちゃめちゃ悔しかったわけではありません。むしろやりきった感が強かったです。問題の相性はここ数年の中で一番良かったし、2問解けたし…なによりも解いてるときがめちゃくちゃ楽しかったのです。これだけ楽しんで本気になれるものに出会えてよかったなと感じました。
3.数オリから得たもの
数オリなんかやってなんの役に立つのかという質問をされるときがあります。それに対する自分なりの答えを最後に書いておこうと思います。
はっきり言ってしまえば、直接的な利益はあまりないです。春合宿まで行けば推薦入試で使える可能性がありますが、受験の範囲とはあまり被ってないです。(※2) それに研究能力との関係性はあまり無いなんて話も聞きます。研究をちゃんとしたことはないですが、数オリで短時間でひらめくように練習する力は長時間かけて色んな人と話し合いながらやる研究との相関関係は低そうです。
じゃあなにが良いかというと思いつくのは2つあります。
- 世界が広いことが分かる
- 楽しい!!!
まずひとつ目について。数オリの勉強をすると意味わからないくらい難しい問題を見つけ(というか普通に問題文の意味すら分からない問題も見つかる)、自分では絶対に思いつかないような解法に出会います。しかもそれを解いちゃう人がいるっていうんだからびっくりですね。数オリをやっていなかったらそれに気づくことも出来ていなかったので、それだけでも得をした気分です
次に「楽しい」ということ。これについてはこの記事をここまで読んでいるという時点であまり説明が必要じゃない感じがしますが…数学の問題をやるのは楽しいことですよね?分からない問題が分かるようになるのは面白いし、わからない問題を友達と一緒に考えることも最高に楽しいものです!
そろそろ長くなってきたし、まとめに入ろうと思います。
この記事で何を言いたかったと思うと…
数オリは楽しいものです。みんなやりましょう!!!
(補足)
※1…数オリは予選の点数は自分でわかりますが、本選の点数は公表されないので、自分が何点だったのか分かりません。採点基準も公開されていないので。。
※2…整数問題だけは少し使えるかも
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